身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
「ここじゃ邪魔になるから、とりあえず行こう」
「えっ?」
晴斗さんは私の手を取り、「大丈夫?」と気遣いの言葉をかけてくれる。
繋がれた大きな手に、ぎゅっと胸が締め付けられた。
私のことを考え、晴斗さんは歩幅を小さくゆっくりと歩いていく。
人の往来が比較的少ない道の隅にいくと、晴斗さんは手を離し改めて私に向き合った。
「ごめん、勝手に連れてきて。少し、話せないか」
「え……話すって」
「ずっと気になってた。あの日、いなくなってから。あの日は一日捜し回ったけど、見つけられなくて……」
「捜し回ったって」
うそ……。
そんな思いで晴斗さんをじっと見つめる。
見上げる晴斗さんはどこかばつが悪そうに微笑を浮かべた。
「宿泊してるホテルを聞いてなかったけど、恩納村のホテル手当たり次第に回って、それから那覇空港に向かった」
うそ……そんなことしてたなんて知らない。
「だけど、何時に帰るかも聞いてなかったから、時間が許す限り待ってたけど、結局会うこともできなくて」
「なんで、そんなこと……」
すぐそばを行き交う人たちや、街の騒音の中、ふたりの間に一瞬の沈黙が落ちる。
晴斗さんの手が、私の頭にそっと載った。