身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 え……?


 相手の目も、信じられないといった状態で私を凝視している。

 忘れもしない、すらりとした長身に、切れ長の目と美しく通った鼻梁。

 流れる綺麗な黒髪は、春に会った時より気持ち伸びたような印象を受けた。

 彼のことを、見間違えるはずもない。


 晴斗、さん……?


 沖縄で出会い、沖縄で別れた彼が、東京の、新宿の駅に何故いるのか。

 初めて見るスーツ姿に釘付けになる。

 その距離は彼のほうからあっという間に詰められ、私たちは人が多く行き交う道の隅で再会した。


「佑杏……」


 彼の低く落ち着いた声が、喧噪の中ではっきりと耳に届く。

 名前を口にされ、間違いなく晴斗さんだと確信した。


「晴斗、さん……どうして」


 あまりの衝撃で上手く言葉が出てこない。

 どうしてこんなところにいるの?

 偶然の遭遇で、そんな疑問が頭には浮かぶ。

 彼の視線が私の顔からお腹に向けられ、おおきな腹部をコートで覆い隠そうとした。

 でも、もともとコートの前が閉められない状態のお腹は隠しきれない。

 拾ったマタニティマークを手の中でぎゅっと握り締めた。

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