身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「美ら海水族館とか……」

『あー、いいじゃん。水族館ならひとりでぼんやり見てるのも楽しいし。あとは?』

「あとはー……」

『あそことかいいよ、ウミカジテラス、瀬長島の。いい雰囲気だし、お店いっぱいあって楽しいし。ひとりでも全然楽しめる』


 沖縄のガイドブックやネット検索のおすすめでも見かけて行ってみたいと思っていた〝瀬長島ウミカジテラス〟。

 お姉ちゃんの口調だと、前回の沖縄旅行で行ったのかもしれない。


「そうなんだ。じゃあ、行ってみようかな」

『うん、なんだっけな、店名忘れちゃったけど、入った店がいい感じだったんだよね。昼はカフェで夜はバーなんだけど、なんだっけなー……マスターのお兄さんが気さくでさ、トークも面白くて。ひとりのお客も結構いたよ』

「ふ~ん……じゃあ、そんな感じの店探してみる」

『うん、そうしてよ。あっ、あと、私にお土産買って来てよねー』

「うん、わかってるって。何がいい?」

『そうだなー、何がいいかなー』


 ひとりで抱え込んでいたものを吐き出すと、少し心が楽になった気がする。

 前向きなお姉ちゃんに背中を押され、せっかくの沖縄を満喫しようと改めて心に決める。

 通話を終えると、沖縄二日目を体調万全で迎えるために早めにベッドに入った。

< 16 / 238 >

この作品をシェア

pagetop