身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 張り止めの薬を服用しながら慎重に過ごして、昨日から妊娠三十七週に無事入った。

 昨日の健診では、お腹の子の体重も三千グラムに突破してきたということで発育も順調の様子。

 正期産に入って、昨日から張り止めの薬ももう飲まなくていいと言われ、処方もされなくなった。

 このままお腹が張って陣痛になっていってもいいということ。

 それはそれでいつ陣痛というものがやってくるのか、昨日からドキドキしている。

 本当にいよいよ、という感じだ。


「そうだけど、もしかしたら今日がふたりで過ごせる最後になるかもしれないし」


 晴斗さんはお腹を撫で「もうちょっとお腹にいてくれよ~」なんて話しかける。


「おっと、撫でたらまずいな」

「え……?」


 背後の晴斗さんを肩越しに見上げる。

 晴斗さんは柔和な笑みで私と目を合わせた。


「こうやってさすると、お腹張るっていうから」

「そ、そうなんですか!?」

「そう。だから、触るなら触れるだけにしとかないと」

「知らなかった……」


 普通の人はあまりよく知らないことを当たり前のように知っているのは、さすがお医者様だと感心する。

 一緒に住むようになってから、体調で気になることがあれば晴斗さんに相談することができるので安心して過ごせている。

< 171 / 238 >

この作品をシェア

pagetop