身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 世の中の風潮的に、男が育休を取りたいなどとはまだまだ言いにくい。

 取りたいと思ったところで誰もが簡単に取得できるものではないようだ。

 育休で穴が開いた分を埋められる人員がなければ物理的に難しいわけで、自分の職場をみればそれが可能か不可能か自ずと感じ取れる。

 出産という大仕事を終えた佑杏を、なるべく休ませてあげたい。

 育休を取って家のことや生まれた赤ん坊の世話をすることくらいでは、出産をしてくれた佑杏には到底及ばないことだけど、それでも少しでも力になれたらと思う。

 育児を手伝う、という意識ではない。

 一緒にやる、のだ。


「はぁ!? えっ、いや、ちょっと待て」


 呼吸器外科のナースステーション内では、祝福ムードの中、御手洗ひとりが尖った声を上げた。

 一か月ほど育休を取らせてもらうと一緒に働く仲間たちに話すと、寝耳に水の話に揃っていた面々は驚きを隠せない様子だった。

 それと同時に、思っていた以上に祝福の声をかけてもらった。

< 203 / 238 >

この作品をシェア

pagetop