身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました
昼間と同じようにお店に向かっていくと、まだピアノの音色は聞こえてこなかった。
「わぁ……綺麗」
店舗が見えてくると、昼間とは別のお店のように明かりが灯った姿に思わず独り言を呟いていた。
青っぽい照明と、ところどころに置かれたキャンドルの灯り。
さっき来たカフェの時とは印象ががらりと変わる。
「おっ、来た来た!」
夜も開け放たれている入り口に差し掛かると、私の姿を見つけたマスターがカウンターの向こうから先に声を掛けてきてくれた。
「こんばんは」
「いらっしゃい、待ってたよ。さっきの席でいいかな?」
「あ、はい」
答えながら店内へ入っていくと、今から私の掛ける席の斜め前、昼間の時と同じ場所にすでに晴斗さんが腰かけていた。
そこにいるとは思ってもみなく、どきりと胸が音を立てる。
何故だか緊張しながら案内された席に掛けると、テーブルの上のスマートフォンを眺めていた晴斗さんが顔を上げた。
目が合って、ぺこりと頭を下げてみる。
すると、晴斗さんは「ああ、さっきの」と、私のことを覚えていたようだった。