身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


 あの時、拒否して帰ることだって可能だった。

 その選択肢を、晴斗さんはちゃんと私に与えてくれていた。

 彼を受け入れたのは私の選んだことでもあるのだ。

 それは、こういうことに、妊娠するかもしれないということも受け入れたと同然。


「もし、見つけられたとしても、言えないよ……そんなこと、言えない……」 


 あの時は一日一緒に過ごして別れ際気分が盛り上がって、晴斗さんは私を招き入れたのだと思う。

 そんな相手から、妊娠しただなんて捜し出されて知らされたら、はっきり言っていい迷惑でしかない。

 相手は、お医者様であんな容姿端麗な完璧な人だ。

 もしかしたら、正式にお付き合いしている人がいるかもしれない。

 いや、スペック的に婚約者とかがいてもおかしな話じゃない。

 そんな風に考えが広がると、知らせることなんて余計にできないと改めて思える。

 それに、あの時の優しい晴斗さんの記憶を壊したくないと思う。

 楽しかったあの沖縄の一日を、綺麗な思い出として残しておきたい。

 今、この現実を知らせて、彼の困ったり迷惑そうな顔を見たくない。

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