身ごもったら、エリート外科医の溺愛が始まりました


「じゃあ、産む? 人ひとり産んで育てるということは、想像以上に大変だよ? その覚悟が佑杏にはある?」

「それは……」


 妊娠も出産も、その先に待っている育児も、まだ経験のない私にとっては未知の世界でしかない。

 それに、これは普通の妊娠ではない。

 パートナーである相手と共に望み、授かった命ではないこと。

 お腹にいるであろう赤ちゃんの父親は、もう二度と会うこともない人なのだ。

 もし産もうと決断をするのなら、ひとりで産み育てていくことになる。


「ねぇ、相手の人を捜すことはできないの? どちらの選択をしたって、相手にはちゃんと――」

「それはいいの」


 お姉ちゃんの声を遮り、はっきりと口にする。


「いいって……相手にだって責任があるでしょ」

「そうかもしれないけど、いいの……」

「佑杏……」


 晴斗さんを捜し出すことは、もしかしたら頑張れば可能かもしれない。

 例えばDai’sに連絡をして、マスターに晴斗さんのことを訊けば、どこの病院で働いているだとか、なんらかの情報を得ることはできるかもしれない。

 でも、今更捜し出して、『あなたの子を妊娠しました』なんて知らせる勇気、私にはない。

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