【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
「あなたの勤務先がわたしと同じ会社っていうことで、急にあいつからスマホに連絡があったの」
久城さんがうんざりした口調で言う。
「……すっごく慇懃無礼な態度だったわ。
そっちでエンゲージとマリッジを購入してやったんだから協力してくれたっていいだろ、って『本心』が滲み出ていてね」
「うちにもそんな感じで、いきなり連絡してきたわ。
……あいつはそういうヤツよっ」
華絵さんも激しく同意する。
「す…すいませんっ、あたしなんかのためにお手を煩わせてしまって……」
あわててあたしは謝った。
「あら、そんなつもりで言ったんじゃないのよ。
あなたはなにも悪くないわ」
久城さんが悠然と言い放つ。
「そうよ。美々ちゃんは全然悪くないわよ。
悪いのは、あの朴念仁の大バカ野郎よ」
とうとう、「バカ」に「大」がついてしまった。
「……それに、わたしは結構、楽しかったわよ?
うちの大翔は男の子だから、こんな機会でもなければ婚約パーティの衣装選びなんてできなかったもの。息子のお嫁さんになる人のドレスに口出して嫌われるのなんて、まっぴらごめんだしね。
まぁ、まだまだ絶賛反抗期中の歳だけどね」
華絵さんは「母親の顔」になって肩を竦めた。
「あの……華絵さんのお仕事は……スタイリストさんですか?ものすごくセンスがいいから……」
あたしは少し話題を変えた。
「違う、違う。わたしはプロではないわ」
華絵さんはケラケラ笑いながら答えた。
気さくな人柄みたいだが、「万里小路家」の一員であるというなら、彼女もまた「やんごとなき」お公家さまの末裔だということになる。
「でも、華絵は玄人跣よ。
企業で広報の仕事をしているから、広告媒体だけじゃなく、美容業界やアパレル業界にも幅広く顔が利くしね」
そして、久城さんもまた世が世なら「久城子爵」のご令嬢である御身分だった。
——すでに、ど庶民の「町娘」であるはずのあたしが「雲上人」の中に放り込まれていた。
そうこうしているうちに、エレベーターは展望台があるフロアに着いた。