はなうらない
確かに、有明は誰にでもこんな感じで接している。冗談混じりに、軽く、少し挑発的に。
「私のこと、試してます?」
就業中なので、極力声を潜めた。
有明は楽しげに目を細める。
「まさか」
「じゃあ、絡まないでください」
「絡むなんて。正武さんが構ってくれるから」
「仕事中は仕事してください」
そう言えば、言質を取った、という顔をした。
いや実際、「言質を取りました」と言われた。
「じゃあ仕事終わったら飲みに行きましょう」
「行きません。仕事してください」
それを断ると、おどけた顔をしていた。
仕事をしてほしい。