贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

入社して 3ヵ月が過ぎて。

少しずつ 仕事の流れを 理解し始めた頃。


私達 新入社員にも 少しだけ 賞与が支給された。


私は 賞与で 腕時計を買う予定だった。

高校生の頃から 使っていた 腕時計は

たくさん 傷付いていたし 少し調子が 悪かったから。


その日 私は 仕事の後 

ショッピングモールの 時計店を 覗いてみた。


ベリーヒルズヴィレッジの ショッピングモールは

高級店が 軒を連ね 私は ため息をつく。


せっかくだから ずっと使えるように

少し値段は高くても 良い腕時計を 買いたいけど。

私の予算とは かけ離れた値段の物ばかりで。


やっぱり ここで買うのは 無理なのかな…


とても気に入った オメガの腕時計は

賞与を全部 使っても 足りない値段だった。


『フゥ…』

ガラスケースから 離れることもできずに

私は 俯いて ため息をついていた。






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