贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

結愛が 起きる前に 出勤する悠樹。

2人で 朝食を取りながら。

昨夜の 甘い余韻で 微笑み合う。


「来週は 福岡に出張なんだ。」

すまなそうな目で 悠樹が言った時

私は 落胆の表情を 出さないようにして


「そうなの。用意しないとね。何日間?」

精一杯 普通の笑顔で 悠樹に聞く。

「3日かな。下着くらいでいいよ。」

悠樹の言葉に 私が 頷くと

「日曜は どこかへ行こうね。結愛と 行きたい所 相談しておいて。」

悠樹は 探るような笑顔を 私に向けた。


私は クスッと笑って もう一度 頷く。

私の寂しさは 悠樹に 見破られている。


悠樹を 支えなければいけないのに

悠樹に 気を使わせていることが 心苦しくて…


「いつも ありがとう。結愛も喜ぶわ。」

素直に 感謝の言葉を 向ける私に

悠樹は 少し驚いた顔をした。


「今夜も 早く帰れるから。」

玄関で 私の頭に 手を乗せて

悠樹は 照れた笑顔で言う。


「えっ? 悠樹さん?」

「んっ?明日香 今 変なこと 考えた?」

「違うわ。悠樹さんが そういう目をしたから…」

「もう…明日香は 朝から。」

「いやね。悠樹さんこそ。」

玄関で 笑い合って 悠樹を見送る。


「いってらっしゃい。気をつけてね。」

「いってきます。」

悠樹は 素早くキスを落として

照れた顔で 手を振った。





 

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