贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

いつもより 気持ちが軽いのは 悠樹のせい。

1人なのに 自然と笑顔が 零れてしまい。


キッチンで 結愛の朝食を 準備していると


「ママ。おはよう。パパは?」

と結愛が 起きてきた。


「結愛ちゃん。おはよう。パパは もうお仕事よ。」

「なんだ…つまんないの。」

「フフッ。でも 昨夜は たくさん パパとお話し できたじゃない。」

「結愛 もっと パパと一緒にいたいの。」

「そうね。きっとパパも 結愛ちゃんと 一緒にいたいけど 我慢して お仕事しているのよ。」

「どうして?そんなに お仕事するの?」

「パパは ママと結愛ちゃんだけじゃなく たくさんの家族を 守らなければいけないから。」

「たくさんの家族?」

「そう。パパの会社で 働いてくれる人 みんなの家族を パパは 守っているの。」

「ふう~ん。パパ 結愛だけ守れば いいのに。」

「えー。ママは?」

「ママは もう大人だから。いいの。」

「そんなの ずるいわ。ママだって パパに守ってほしいわ。」


結愛の回りには 似た環境の家庭が多いから。

結愛は 自分だけが 特別寂しいとは 思っていない。


それでも 私と2人きりの時間が 長いから。

悠樹と過ごす時間は 結愛にとって 逃げ場だった。


「そうそう。パパが 日曜日 どこかに 連れて行ってくださるって。結愛ちゃん 行きたい所 ある?」

「ヤッター。結愛 サファリパークに行きたい。ライオンバスに乗って ライオンを近くで見たいの。」


結愛の 子供らしい提案に 私は 笑顔になる。

「さあ。結愛ちゃん ご飯食べて。幼稚園に 遅れるわよ。」


今日も いつもと同じ 一日が 始まる。





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