救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
ピッ、ピッ、ピッ・・・。

ドラマやドキュメンタリー番組で耳にする規則的な機械音が聞こえてくる。

光治は一瞬、自分がどこにいるかわからず、眩しさに顔を歪めながらゆっくりと辺りを見回した。

「聖川さん?目が覚めましたか?」

目の前には、紺色のスクラブを着た看護師と思われる女性が2名立っていた。

「ここは・・・?」

「セントヒルズホスピタルのERですよ」

゛ここは救急室か゛

光治は以前テレビで、患者役の俳優が発したベタな台詞を自分が発することになるとは夢にも思わず苦笑した。

「よかった。目が覚めましたね」

足元から別の女性の声がする。

どこか聞き覚えのある声。

それは、先ほどモール前の通り で、痛みに耐えきれなくなった自分に声をかけてくれた、あの自称゛童顔女医゛だった。

どうやら本当にナンパや詐欺ではなかったらしい。
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