救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
「N島?都に属する離島・・・ですか?」

「ええ、父がそこの診療所で医師をしているので時間を見つけては私も手伝いに帰っているんです。将来は父の跡を継ぐつもりでいます」

゛ふふ。離島の女医なんてアウト・オブ・眼中になったでしょ?゛

と、あやめは思いながらドヤ顔で言った。

「これまでも、セントヒルズホスピタルで積んでいる経験もそのための布石に過ぎません。だから光治さんや田中さんの思惑通りには事は運ばない、ということです」

29歳なのに結婚願望が薄いあやめはともかく、35歳の光治がこれからお付き合いをするとすれば結婚を視野にいれたものになるだろう。

だからこそ離島の女医になる宿命のあやめに費やす時間は無駄というもの。

゛早々に諦めて次を探して欲しい゛

それがあやめの願いであり、本心だった。

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