誘拐は激甘生活の始まりVI
「健やかなる時も、病める時も、互いを尊重し、愛し合うことを誓いますか?」

優しく微笑む神父に、二人は真剣な顔で「誓います」と答える。そして二人は向かい合い、ダミアンが杏菜のヴェールを上げて優しくキスをした。

結婚式の誓いのキスは、やはり特別なものだ。杏菜の心を一番の幸せで満たしていく。でもそれはきっとダミアンも同じだと杏菜は察した。

「ねえ杏菜、もう夫婦だし僕のことを呼び捨てで呼んで?敬語もなしにして?」

ダミアンに見つめられ、杏菜は「えっ!?」と戸惑う。しかし、参列者の優しい目とダミアンの子犬のような目に覚悟を決め、口を開いた。

「これからよろしくね、ダミアン」

「嬉しい!こちらこそよろしく」

杏菜はまたダミアンにキスをされ、顔を真っ赤に染める。ダミアンは幸せそうに笑っていた。

ダミアンの腕に杏菜は手を回し、参列者が見守る中、長いバージンロードを歩いていく。

「愛してる」

同時に言い、二人は優しく微笑んだ。
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