きみに ひとめぼれ
「勝見君、部活にも出てなかったね。私のせいかな」
彼女は困ったように笑っていたけれど、元気はなかった。
「そんなことないよ。
何となく、そういう気分じゃなかっただけだよ」
「ああ、何となく、ね」
そう言って彼女はふふっと笑う。
何かおかしかっただろうか。
ふと彼女のかばんに張り付いているように見える生八つ橋が目に入った。
真ん中がほんのりピンク色の三角形。
その三角形に頭の片隅にうっすらと残る妙な記憶を思い起こしている途中で、「そういえば……」と彼女が切り出した。
「園田君は、どうして私が勝見君のこと好きってわかったの?」
「え?」
キラキラとした目を僕の方に向ける彼女から、僕は思わず目をそらした。
__どうしてって、それは……
「実は、僕……、あの、意外と思うかもしれないけど、そういう勘、鋭いんだよね。
男女の色恋沙汰、みたいな」
嘘だ。
そんなわけない。
人の色恋沙汰なんて、いつも誰かに教えてもらってようやく気づく。
女子の考えてることなんて全然わからない。
いつも自分の一番近くにいた男子の駆け引きにだって、気づけてなかったのに。
それなのに彼女は「へえ、すごいねえ」なんて感心してくれる。
そんな彼女の横顔に、切ないまなざしを送らずにはいられなかった。