カタオモイ同盟

「…………っ」


誰もいないと思っていたけれど、そこには誰かがいた。


予想外の出来事に、思わず息を呑む。


こんな時間に、こんな場所に来る人なんて、私くらいだと思っていたのに。


短い髪と、スラックス。後ろ姿から、男子だとわかった。


彼が、ゆっくりと、振り返る。私は目を見開いた。


ヒュッ、と風が吹いて。ちょっぴり色素の薄い髪が、さらさらと風になびいて。……眩しくて。


儚げな雰囲気に、心を惹かれた。


ネクタイの色は、私と同じ赤色。少しくすんでいて、生徒からは可愛くないと不評の色。


「わぁ、これはこれは、派手にやられたね。大丈夫?怪我とかない?」


形の整った、桜色の唇が滑らかに動く。


彼の第一声。凛とした声。しっかりと胸に刻み込み、心の中で何度も繰り返す。


……ん?


『派手にやられたね』?


「っ、!」


それで思い出した、私の今の格好。


……ユカリたちのせいで、見事に濡れ鼠。

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