カタオモイ同盟
「世莉!」
私に気が付くと、彼は駆け足で寄ってきてくれる。
硝子玉のような彼の瞳が、私をとらえる。
結城サン、から、世莉、に。昇格したんだ、私、彼の中で。
どくん。大きく心臓が跳ねた。
「さ、冴木くん」
「……それ、ヤダ」
「えっ」
「名前で呼んでよ。僕だけ名前で呼んでると、距離があるみたいで、ヤダ」
「ええっ」
冴木くんを、名前で?
それは、ちょっと。ハードル、高くないですか。
俯き、口を結ぶ私に、彼は。
「もしかして、僕の名前忘れた?泣いちゃう」
そう泣き真似をするものだから焦る。
「ち、違うよ!覚えてる、覚えてるから!」
「じゃあ呼んでよ。ほら、はーやーくー」
「うっ。……み、湊斗」
「はーい。よくできました」
「……っ」
満足げに笑う。直視できないくらい眩しくて、顔を逸らす。
笑顔の破壊力が反則級。君は多分気付いてないんだろうね。……ずるい。