無気力さんと同居するらしい


「…断ってよ、お願い」

…?

真琴くん?

そう言う彼の顔は見たこともないような表情だった


苦しそう

まるで何かに怯えているかのような

眉間に皺を寄せて、懇願するような目で

少し焦ったように

私を見つめる


…真琴くんは

きっと、怖いんだろう

私が蒼馬のところへ行ってしまったら
またこの家に一人になる

それが嫌なんだろう

その顔を見ればわかる

きっと私も同じだから


彼も

私も

人一倍、一人に慣れていて

一人が怖いんだ


蒼馬は大切な人だけど

…今、私の胸を締め付けるのは

蒼馬の告白の言葉よりも

真琴くんのこの表情なんだ


この感情が何を意味するのか
きっと深く考えなくてもわかる

蒼馬が私を想うのと

何も変わらないのかもしれない


認めてしまえば

この家で、得意のお節介を焼いて生活することが難しくなるかもしれない

だから背を向け続ける

この感情に知らないふりをする

これ以上溢れ出ないように蓋をする


それが彼のためにも、私のためにも…

なるはずなんだ

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