溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
 先に歩き出した和也くんについていく。

「お姉さん綺麗な人だね」

「そうか? 別になんとも思わないけど」

 家族だと普段見慣れているから、なにも感じないのかも知れない。

「ただなんとなく、疲れてるみたいだった」

「まあ、色々あったからな。病院関係のことは俺がフォローできるけど、夫婦のことには首を突っ込むわけにはいかないからな」

「そうだよね」

「それはさておきだ。お前は行く先々でどうしてこう問題を起こすんだ?」

 いきなり話の矛先がこちらに向いて、はっとする。

「それは本当に申し訳なかったなって。早く会いたい一心で」

「もう少し、色々考えて行動しろ。心配で仕方ない」

 最後のひと言がうれしくて笑ってしまう。

「俺今、説教してるんだけど。わかってる?」

「はい。反省しています」

 車に乗り込んだ和也くん。わたしも助手席に乗る。

 すぐに車を発車させずに、車のキーと一緒につけてある鍵を外した。

「次に会ったら渡そうと思ってた。これ、俺の部屋の鍵」

「え? いいの!?」

 思わず軽く飛び跳ねるほど喜んでしまった。

「ああ。毎回ああやって警備員がかけつけたら大変だからな。もし俺を待つなら部屋で待っていてほしい」

「はい……ありがとう!」

 和也くんは車のエンジンをかけると、こちらを見た。

「まあでも、俺も早く会いたかったから、うれしかった」

 その言葉にわたしは目を丸くした。あの和也くんがっ……今までどんなに告白しても冷たかった和也くんが……うれしいなんて!

 わたしちゃんと和也くんの彼女なんだなぁ。

 もらったばかりの鍵をあらためてじっくり見ながら、幸せを噛みしめていた。
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