溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
「大丈夫ですよ? 彼女を傷つけるようなことはしませんから」

「わかってる。だけど、こいつは俺が送っていく」

 君島を信用してないわけじゃない。そうでなければ、一緒に働くことなんてなかっただろう。
医師としても人間としても信頼の置けるやつだ。けれど、瑠璃のことは別の話だ。

「いきなり、彼氏面ですか? ずっと瑠璃ちゃんの気持ち無視してたくせに」

「そういうことじゃない。職場の飲み会だから、なにかあれば俺が責任を取ることになる。だからこいつは俺が送っていく」

 もっともらしい理由をつけたが、正直君島とふたりっきりにさせたくないというのが本音だ。

 だが君島の言うことも、もっともだと思う。これまで散々瑠璃を振り回してきた自覚はある。

 諦めの悪い彼女をストーカー呼ばわりしたが、そうなったのははっきりと拒絶できない俺自身のせいだ。

「こいつとのことに関しては、お前には関係のないことだ」

 俺の言葉に君島は目を細めて、その後小さく笑った。

「まあ今日はそういうことにしておきます。でも、俺瑠璃ちゃんのこと好きなんで、本気でいきますね? 構わないですよね?」

「勝手にすればいい」

 瑠璃を立ち上がらせ、なんとか歩かせる。

「中村先生からのOKもらったんで、これで正々堂々彼女をくどけます」

 挑発にのるのは利口じゃない。わかっているけれど我慢できずに君島を睨んだ。

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