溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
まさか自分の行動を、和也くんがそんなふうに捉えていたなんて思わなかった。
「同時に俺は姉に言ったんだ。病院の経営は医師でなくてもできる。だから病院は姉ちゃんが継げばいいって。親父たちにもそう伝えて、俺はいっさい実家の病院にはかかわらなかった」
だから和也くんはこの叔父さんのクリニックを引き継ぐことにしたのだろう。
「そうだったんだね……」
「まあ、結局このクリニックも中途半端なままで投げ出すことになったなぁ。急なことだし患者さんにも悪いことしたな」
クリニックをぐるっと見回している後悔が滲むその様子を見て、和也くんにとっても今回のことは本当に不本意なことなのだというのが伝わってくる。
いろんな彼を知っているけれど、こんなふうに落ち込んだ姿を見たのははじめてだった。
わたしはなんとか彼を励まそうとする。けれどありきたりな言葉しか出ない。
「でも、でも、君島先生も真鍋さんもわたしもいますし! 大丈夫ですから!!」
正直まだここに来て日の浅いわたしなんかが役に立つのかわからない。決して自信があるわけじゃない。
けれど強がりでもなんでも、今は和也くんを励ましてあげたかった。
必死になるわたしを見て、和也くんの口元がほころぶ。
「お前のことだから『一緒に行くー!!』って泣きわめくかと思ったのに」
本当の本当はそうしたい。せっかく一緒に働けるようになって、今までの人生の中で一番彼の近くにいられるようになったのにまた離れてしまう。同じ都内だが、今より会えなくなるのは間違いない。
思わず目が潤む。けれどなんとか我慢した。
「わたしだって、泣きわめきたいです……けどっ、でも、和也くんが今わたしにしてほしいことって、このクリニックで頑張ることだと思うから……だから」
我慢していた涙がこぼれた。
「ごめんな……ありがとう」
和也くんの手が伸びてきて、わたしの頭を優しく撫でた。
まるで子供にするみたいな手つきだったけれど、それでも彼の気持ちが伝わってきて余計に泣けてきた。
ポロポロと流れる涙が止まるまで、和也くんはずっと撫で続けてくれた。
ひとしきり泣いて、わたしの鼻の頭が赤くなった頃。
和也くんが立ち上がった。
「同時に俺は姉に言ったんだ。病院の経営は医師でなくてもできる。だから病院は姉ちゃんが継げばいいって。親父たちにもそう伝えて、俺はいっさい実家の病院にはかかわらなかった」
だから和也くんはこの叔父さんのクリニックを引き継ぐことにしたのだろう。
「そうだったんだね……」
「まあ、結局このクリニックも中途半端なままで投げ出すことになったなぁ。急なことだし患者さんにも悪いことしたな」
クリニックをぐるっと見回している後悔が滲むその様子を見て、和也くんにとっても今回のことは本当に不本意なことなのだというのが伝わってくる。
いろんな彼を知っているけれど、こんなふうに落ち込んだ姿を見たのははじめてだった。
わたしはなんとか彼を励まそうとする。けれどありきたりな言葉しか出ない。
「でも、でも、君島先生も真鍋さんもわたしもいますし! 大丈夫ですから!!」
正直まだここに来て日の浅いわたしなんかが役に立つのかわからない。決して自信があるわけじゃない。
けれど強がりでもなんでも、今は和也くんを励ましてあげたかった。
必死になるわたしを見て、和也くんの口元がほころぶ。
「お前のことだから『一緒に行くー!!』って泣きわめくかと思ったのに」
本当の本当はそうしたい。せっかく一緒に働けるようになって、今までの人生の中で一番彼の近くにいられるようになったのにまた離れてしまう。同じ都内だが、今より会えなくなるのは間違いない。
思わず目が潤む。けれどなんとか我慢した。
「わたしだって、泣きわめきたいです……けどっ、でも、和也くんが今わたしにしてほしいことって、このクリニックで頑張ることだと思うから……だから」
我慢していた涙がこぼれた。
「ごめんな……ありがとう」
和也くんの手が伸びてきて、わたしの頭を優しく撫でた。
まるで子供にするみたいな手つきだったけれど、それでも彼の気持ちが伝わってきて余計に泣けてきた。
ポロポロと流れる涙が止まるまで、和也くんはずっと撫で続けてくれた。
ひとしきり泣いて、わたしの鼻の頭が赤くなった頃。
和也くんが立ち上がった。