溺愛全開、俺様ドクターは手離さない
「さみしいのは俺だけだと思ってたけど、お前もだったんだな」

「さ、さみしい!?」

 ガタンと椅子が音を立てるほど勢いよく立ち上がる。

 まさか和也くんがそんなことを言うとは到底思えなくて、わたしは慌てて聞き返した。

「ああ、さみしいよ。毎日お前に会えなくなるのは」

「ああ……ああああ」

 口から変な声が漏れる。動揺して言葉が出てこないのだ。

 深呼吸して落ち着いた頃には、和也くんは出口に向かっていた。

「ほら、帰るぞ。送っていく」

「え、いやその前に、さっきの『さみしい』について、もう少し詳しくお話を聞かせていただけないでしょうか?」

 必死になって追いかけるわたしに、振り向いた和也くんは言った。

「言葉の通りだよ。そのまんま、お前がいないとさみしいってこと」

「え、わ、あ……」

 喜びで膝から崩れ落ちそうになるのをなんとか耐えて、わたしは外に出てしまった和也くんを必死になって追いかけたのだった。

 このときのわたしは、幸せだった。

 自分の場所で、自分のやるべきことをして彼を支えられる。そのことが彼のいない日々でもわたしの支えになると思っていた。
< 77 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop