【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜

「あそこには自由に行き来すれば良い。でも卒業してからは俺と一緒に暮らそう。
時間が空いたら静綺の両親にも挨拶に行きたいから、お父さんの都合の良い日を聞いておいてくれ」

「何もそこまでしなくっても…」

「俺は嫌なんだよ。お前とは真剣に付き合ってるし、すぐにでも結婚したい位なんだから、そういう所はちゃんとしておかないとな?
本格的な同棲が始まるならそれは報告しないと」

意外に真面目できちんと筋を通する性格。そういう所があるって分かってたけど…。
そういう所も好きだけど。

「そういえば…」

「ん?」

「その着ているセーターはお前によく似合ってるな」

少しだけ頬を赤く染めて、目を逸らし言う。
その言葉にどきりとしてしまう。

この白い肩出しのセーターは、この間雄太のお姉ちゃんの誕生日プレゼントを選びに行った日に、ついでに自分の服もと購入した物であった。

もちろんの事だが、真央はそれを知らない。背中に変な汗をかいていくのが分かる。

「似合っている、だが…」

じぃっとこちらを真剣な顔をして見つめる。な、何?ば、バレてないよね?何か文句あんの?
眉をしかめ、私の白いセーターにじぃっと見つめる。何なのよ、一体…。

「あんまり肩を露出するのはいけないと思う。俺とふたりきりで居る時は良いが、それを着て外に出る時はもっと上げるように」

そう言う事か…。思わずホッと胸を撫でおろす。やましい事なんて何ひとつしていない筈なのに、汗が止まらない。

そんな私の様子を変に思ったのか、真央が「ん?」と疑わしい目でこちらを更に見つめる。だ、だから汗が止まらないんだってば!
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