【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
りっちゃんとの件が終わったら雄太と連絡を取り合うのはもう止めよう。会おうと言われてもきっぱりと断って、今後は個人的なお付き合いはお断りしよう。それがたとえ友達だとしても良い気はしない。
だって私だって、真央と花乃さんが個人的に仕事以外のオフの時間に会っていたら嫌。昴さんを介してならば、岬さんと会うのは許せるけど…花乃さんだけは絶対に嫌だ。
真央の温かい胸に顔を埋める。トクントクンと心臓の音が一定のリズムを刻む。それと共に鼻先を擽る大好きな人の匂い。
私だって、この胸の中にいるのが1番落ち着く。この場所を誰にも譲りたくない。
真央がそれを望んでいてくれるのならば、生涯この居場所は自分だけの物であって欲しい。
「どうしたそんなにしがみついて?もう1回か?」
「何ですぐそうなるのよ、変態。」
「へ、変態だと?!相変わらず失礼な女だ。お前は。
俺はお前となら時間の許す限り何度だっていいと思ってるぞ?」
「馬鹿じゃないの?」
「お前は――…人の愛を何だと思っている!」
「よくも恥ずかしげもなく愛なんて言葉を口に出せるわね」
「もう少し素直になれ!」
「素直じゃないあんたには言われたか無いわよ」
口を開けば可愛げのない言葉ばかり。お互い様とはこういう事を言うのだろう。
本当はその不器用な愛情が嬉しくって仕方がない癖に。
口喧嘩をしているように思えるけれど、これが1番私達らしい。心がちゃんと繋がれているのならば、紡がれる言葉がどんなのであろうとあまり問題は無い気がする。
微睡みと快楽の中でゆっくりと瞳を閉じた。