【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
夕食を食べ終えて、一緒にお風呂に入ってベッドを共にする。
彼はいつだって私を壊れ物のように大切に抱いた。それがとても嬉しくって、土曜日がいつの日にか楽しみになっていた。
私と一緒に居る時間を1番落ち着く時間だと言ってくれる。どこまでも真っ直ぐな気持ち。そこには濁りのひとつも見当たらなくって、どうして真央ってこうなんだろう?
売れっ子芸能人なのにその純粋さに時たま戸惑ってしまう。
「まぁ撮影ももう少ししたら落ち着いてゆっくり出来る時間は増えると思うよ」
「ドラマ超楽しいもんね!視聴率も今期のドラマでトップなんでしょう?おめでとう!」
「まぁそれは俺が出てるし当然な?昴の力もほーーーーーんの少しあるかもしれねぇし」
「昴さんがイケてない役ってのもギャップがあっていいんだよねぇ~。
ずっとかっこいい役ばっかりやってきたから新鮮って言うか。毎週毎週きゅんきゅんしちゃう。
ドラマのヒロインになりたいよーッ。昴さんと真央から取り合いされるなんてきゅん死にしちゃう!」
「はぁ?!
お前はリアルの俺と毎日一緒にいられる事が最高級の幸福だろう?
それなのにまだ昴昴昴…」
「それは違くって。ドラマの中の話じゃないのッ。ドラマの中の架空の話をしてるのに嫉妬するの止めてよね」
「俺は架空の中でも嫌だ。
お前は大人しく俺だけ見てればいいんだ」
ぐいっと体を引き寄せられる。胸の中でちらりと顔を上げたらそこにはいつもと変わりのない不敵の笑み。
架空の話でも嫉妬を妬いてしまう男を前に、やっぱり雄太の事は秘密にしておこうと心に決めた。