【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
このマンションにプライベートで人を入れているのを見た事がない。
坂上さんだって入って来やしない。それを真央はこの人には安心して自分の部屋を教えたと言うのだろうか。
ここに立っているだけで惨めになってきて、足が震えているのが分かった。…意気地なし。そんな自分は嫌いだ。思わず花乃さんから目を逸らしてしまう自分も…。
彼女は私だ。堂々としていればいい。それなのに少しも自信が持てなくて。
「静綺ちゃんも芸能人の真央と付き合うより、同世代の子と付き合った方が楽しいんじゃないの?」
「そんなッ…」
「だって真央と付き合ってても好きな所にも行けないし、疲れちゃうでしょう?あなた自身もある事ない事言われちゃうだろうし」
「そんな事、ありません…。私は真央が好きだから」
「好きでも一緒に居られない恋もあるわ…。」
「そんなのッ、花乃さんに決められたくありませんッ…」
くすっと笑うと唇に乗っている赤いリップが印象的で、大人の女の人。
真央も、本当は私みたいな子供と付き合っているより花乃さんのような大人の人と付き合ってる方がいい?
目の前の女性は背筋を伸ばして、余裕で笑う。