【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「何だそれ、家に居る時の俺はかっこよくねぇみたいじゃないか」
「ん~…確かにギャップはあるよねぇ」
「お前……俺は地味にショックだぞ?!それじゃあテレビに出ている姫岡真央の方がいいみたいじゃねぇか」
パッと私の体から手を離し、唇を尖らせて拗ねた顔を見せる。
そんな子供みたいな一面も好きな所のひとつで、コロコロと変わって行く表情もテレビでは見せないけれど、私だけが知っている特別な物。
「確かにテレビに出ている姫岡真央の方がかっこいいけど、私は素の真央の方が何倍も好きだけどね?」
そう言ったら満足そうに口角をあげて笑い、再び私を後ろから抱きしめる。
テレビで見せる真央は王子様。けれど普段の彼は王子様というよりかは、小さな王様みたいで
気まぐれな天気予報のようにコロコロと変わるご機嫌はいつだって予測不可能で、私の心をこんなにも揺さぶる。
「それならばいい――」
そう言って私の唇へとキスを落とす。
子供のような無邪気な笑顔は、夏のひまわりのように真っ直ぐに揺れる。太陽を目指し、どこまでも高く高く――。
「そういえば今週末寮に行こうよッ。来週からリフォーム入っちゃうみたいだし」
「それは別にいいけど…お前本当にあの寮が好きな?」
「私だけじゃなくって、あんただってあの寮が好きじゃない。人の事言えないじゃん」