【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「ごめんごめん、買い物に行ってて気づかなかったよ。
今日は早かったんだね?」
「まあな。それよりテレビ見たか?」
「見た見た~」
「8ちゃんのワイドショーで流れている宣材写真が気に食わなかった。何故あんな不細工な写真を使うんだ?!
せっかくの人の晴れの日に失礼なテレビ局だ。」
「え?そう?かっこいいと思ったけど」
スーパーの袋をキッチンに置いて、真央の方を見つめると怪訝そうな顔をして眉を下げた。
「それより新しく出てた雑誌買って来た。これ見てッ」
本屋で買った新号の雑誌を見せると、真央はそれを取り上げてパラパラと捲る。
納得のいかない顔をしたまま口をへの字に曲げた。
「またお前はこんな物を、毎日拝んでいる顔じゃねぇか」
雑誌をキッチンの隅に置いたかと思えば、後ろから抱き着いてきて髪に頬にキスをする。薄い唇を肌へ滑らすたびに、どこか擽ったい。
そうやってスーパーで買って来た食材を冷蔵庫に収納する私の邪魔をするのだ。大袈裟に嫌がる振りをすると、不敵な笑みを浮かべたままその行動はエスカレートする。
「毎日拝んでたって、一瞬一瞬で違う表情するもんねッ。
それにこんなかっこつけてる真央は中々家じゃ見れないから新鮮なんだよねぇ~
はぁ~…かっこいい。この写真めっちゃかっこいい。写りも良い」
再び雑誌に手を伸ばす。その中にはにっこり最高の笑顔で笑う真央。
目の前に居る顔とは全然違うのだ。