【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜
「うわぁー…静綺ちゃんって器用ねぇ」
「いえいえ、そんな事ありませんよぉ」
野菜を刻む私の包丁さばきを見て、感心したように言う。
「さすが栄養学科の学生さんねぇ。私ったら料理は昔からあんまり得意じゃないの。
ひー君が芽衣ちゃんは何もしなくていいんだよって甘やかされてきたから」
「あ、あーはははは……」
この人がいつまでも少女っぽいのはあのお父さんのせいだろう。大切に大切にされている。
「おかあさ…芽衣ちゃんは昔舞台女優をされていたんだそうですね。」
「うふふーー…恥ずかしいわぁー…そんなに有名じゃないんだけどね」
「さすがです。本当に美しいですもん。真央は芽衣ちゃん似ですね」
「そうかしらぁー?ひー君にも似ていると思うけど」
「確かにお父様にも似てるけど、芽衣ちゃんにも似ています…。天然な性格も」
「そう~??キャッ!危ない!」
「あ!包丁は私がしますから!野菜洗ってください!」
絶対に天然だと思う。そういう所もお父さんは可愛くて仕方がないんだろうけど。
私だってこんな可愛らしい人をお嫁さんに貰ったら、何もしなくていいと甘やかしてしまいそうだ。
「静綺ちゃん、ありがとうね」
少女らしい彼女の横顔がふと母親らしくなる瞬間がある。
「何がです?」
「真央と一緒に居てくれて。あなたみたいな優しい女の子が真央の彼女で安心したわ。
あの子、ちょっと難しい所がある子でしょう?」
難しい所。ちょっと所の騒ぎではない。かなり…いや大いに…。出会った頃は親の顔が見たいとも思ったもんだけど
けれど私はそれ以上に真央の良い所も沢山知っている。不器用の中に隠された大きな優しさも。