若きビル王とのエキサイティング・マリッジ
「知っての通り、祖父の橘権三は名高い造園家であり設計士だ。
祖父が手掛けた庭や監修した建物は、どれも芸術的だと誉められ、どこから見ても一枚の絵のように美しい…と評価されている。

そんな祖父の孫として生まれた俺は、幼い頃からその才能を受け継ぎ、センスを磨くように…として育てられた。
祖父も俺をとても可愛がってくれて、勉強の為に…と一般人では足も運べないような貴重な建物の中や庭などを見せて歩いてくれた。

そこの何が素晴らしくて重要かを教えてくれたのも祖父だった。
だけど俺には、『自分の好きなように生きろ』と言ってくれて、『敢えて自分と同じ道を歩まなくてもいい』とさえ言ってくれていた。

それでも、俺は祖父の様な設計士になりたかった。
人に繊細だと言われる建物を造り出して、誰にも真似が出来ないと言われるようなものを生み出したいと思っていた。

けれど、それは生半可な気持ちでは出来なかった。

例えば祖父と同じ分野で仕事をしても、所詮は橘権三の孫だからな…と言われ、俺自身の作品としてではなく、祖父があっての俺だ、というように評価を受けた。

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