あの丘で、シリウスに願いを
「翔太先生、お待たせしました」

翔太は、リビングの窓から外を見ていた。
朝日はまだ昇っていないが、東の空はうっすらと明るくなっている。

「見て、まこと。夜明け」

仕事で、夜を明かしたことなど何度もある。
横浜の海から昇る極上の朝日を、翔太や水上と病院の屋上で見たこともある。

だけど、翔太に優しく肩を抱かれて見た今日のベリヒルの朝日は格別に美しい。

翔太の手がまことの左胸にそっと触れた。

「だいぶ無理させたけど、大丈夫?」
「…大丈夫です」
「そう。じゃ次はもっと激しくしても大丈夫だねー?」

イタズラっ子のように、ニヤリと笑う翔太に、まことはギョッとする。

「次は、可愛い女の子とどうぞ」
「また、可愛くないことをー」

いまさら、可愛い女の子になんて、なれない。先ほど鏡に映った自分の貧弱な体を思い出し、気持ちは落ち込んだ。

「さぁ、急ぎましょう。水上先生大丈夫ですか?」
「洸平のやつ、今日だけは俺に絶対連絡するなって言ってるらしくて。気を使いすぎなんだよな。まぁ、おかげで助かったけど」
「水上先生、私を呼び出してくれればいいのに」
「それはないよ。アイツは、まことと俺が一緒だって知ってるもん」

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