あの丘で、シリウスに願いを
「まこと、起きられる?」
遠くで翔太の声がした。まぶたが開かない。体は休息を求めて鉛のように重く、だるい。
「ごめんね、もう少し寝かせてあげたかったけど、今病院に電話してみたら、かなり忙しいみたいで。看護師が悲鳴あげてたから、戻る。
まことは寮に送るよ。いつもの時間に来てくれればいいから。いや、今日は午後からでいいよ、ゆっくり休んでから来て」
ハッとなって目を開ける。一気に現実に引き戻される。
翔太はすでに着替えはじめていた。
「すぐに支度します」
「あ、シャワー浴びる時間くらいあるよ。浴室は出て右ね。タオルも置いてあるやつ使って。
…あ、俺。で、今どんな状況?うん。うん。わかった。そうだな、あと一時間ほどで戻るから」
病院に電話をしながら、翔太はすでに仕事モードだ。
まことは、慌ててシャワーを浴びる。手早くシャワーを済ませタオルで体を拭こうとして、ふと鏡に映る自分の体を見た。
女性らしい膨らみも、丸みもなくて。百戦錬磨の翔太にはつまらなかっただろう。
それでも、優しくしてくれた。心臓が高鳴るたびに、心配そうにぎゅっと抱きしめてくれた。
最高に幸せな夜だった。
「…ハックション」
冬の早朝だ。さすがに寒くてくしゃみが出た。慌てて服を着る。