あの丘で、シリウスに願いを
部長室に入ると、翔太は部長席につく。
「六平先生、四月からここに行って下さい」
淡々と告げると、翔太は机の引き出しから書類を取り出しまことに手渡した。
「…これは、ベリーヒルズ…北山先生の…。
嫌です。私はここで、横浜新医療センターで翔太先生のもとでまだまだ働きたいです」
「六平先生、これは部長命令だよ。北山のところが嫌なら、田舎に帰ってもらうしかないが」
冷たくいい放つ翔太に、まことは息を飲むしかできなかった。有無を言わせない迫力がある。こんな彼を見たのは初めてだ。
「小西先生も来てくれたし、この後は研修医もくる。他の科とも連携して新体制を組むことにもなった。ここはもう大丈夫。心配いらない。
北山は優秀だよ。こことはまた違う勉強が出来るはずだ。
医者にとって経験は財産だ。そのチャンスを逃すような愚かなことはするな。
これからは、北山を頼れ。アイツなら君を充分成長させてくれるだろう」
翔太は、机からもう一枚の紙と銀色のシリウスを出した。
シリウスが紙の一番上に『六平まこと』という字を書く。
そして、一番下に。
「…!」
「あ、おい!」
北山宛の推薦状。一番下に推薦者として自分の名前をサインしようとした翔太の手をまことがつかんだ。
「六平先生、四月からここに行って下さい」
淡々と告げると、翔太は机の引き出しから書類を取り出しまことに手渡した。
「…これは、ベリーヒルズ…北山先生の…。
嫌です。私はここで、横浜新医療センターで翔太先生のもとでまだまだ働きたいです」
「六平先生、これは部長命令だよ。北山のところが嫌なら、田舎に帰ってもらうしかないが」
冷たくいい放つ翔太に、まことは息を飲むしかできなかった。有無を言わせない迫力がある。こんな彼を見たのは初めてだ。
「小西先生も来てくれたし、この後は研修医もくる。他の科とも連携して新体制を組むことにもなった。ここはもう大丈夫。心配いらない。
北山は優秀だよ。こことはまた違う勉強が出来るはずだ。
医者にとって経験は財産だ。そのチャンスを逃すような愚かなことはするな。
これからは、北山を頼れ。アイツなら君を充分成長させてくれるだろう」
翔太は、机からもう一枚の紙と銀色のシリウスを出した。
シリウスが紙の一番上に『六平まこと』という字を書く。
そして、一番下に。
「…!」
「あ、おい!」
北山宛の推薦状。一番下に推薦者として自分の名前をサインしようとした翔太の手をまことがつかんだ。