あの丘で、シリウスに願いを
「あれ、まこと先生、そのボールペン…『シリウス』だね」


唐揚げを受け取る為に一旦机に置いたボールペン。翔太がそれに気づいた。


「あ、そうなんです。私には不相応な高級品なんですけど、すごく書きやすくて。一生大事に使いたい大好きなボールペンなんです」

「…そうなんだ。そんな風に言ってもらえると、ボールペンも嬉しいだろうね。
『シリウス』は、職人が一本づつ丁寧に手づくりしているんだよ。だから、大量生産は出来ない。店も、銀座本店と、ベリーヒルズに一店舗だけなんだ。よく知ってたね」

「そんな貴重な品だったなんて知りませんでした。これは以前、ここに面接に来た帰りにベリーヒルズで買ったんです。…一条教授のボールペンと同じだって」
「それも、驚きだ!!親父殿の使ってるボールペンまで知ってるなんて。まこと先生、すごいな。
もしかして…親父殿とただならぬ関係だったり、する?」


「な、な、何を言ってるんですか、翔太先生!そんなこと、天地がひっくり返ってもありません!!」
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