あの丘で、シリウスに願いを
「私が頼りなくてすみません」
「頼りない?とんでもない。まこと先生は充分戦力だよ?なんで、そう思うの?」

「水上先生と一緒が多いので」
「あー、そっか。それ、勘違いだよ。
ここでは洸平が一番勉強になるでしょ?どんどん技術を盗んで。まこと先生はもともと仕事の出来る人だったけど、実際、この三ヶ月ですごく成長したよ。今夜もよろしくねー」

翔太は、まことの肩をポンとたたくと、一つ大きなあくびをしてから自分の席についた。コンビニで仕入れた惣菜パンを口に入れながら、パソコンと向かいあう。


ーー褒められた。


大抵、女医は偏見を受けやすい。どんなに頑張っても、“女のくせに生意気だ”と言われてしまうことが多い。まことももはや慣れてしまっていた。

思えば、ここへ来て三ヶ月。ほかのスタッフから一度も女性だからと蔑視されたことがない。それどころか、まことを成長させてくれようとしてくれるし、褒めてもくれる。
部長の影響なのだろう。

一条翔太という上司について、色々、思い違いをしていたようだ。

まことは冷めてしまった唐揚げを一つつまむ。いつもより少しだけ美味しく感じる。
己の単純さに、ちょっと笑ってから、手元の資料に目を落とした。


< 33 / 153 >

この作品をシェア

pagetop