あの丘で、シリウスに願いを
「恋愛感情なしに、割り切って一晩の関係なんて持てません」
ハッキリと拒絶したつもりだった。だが、その一言に翔太は何故か嬉しそうに顔をゆがめた。
「それって…俺のことスキって言ってる?」
「は?そんなこと一言も言ってませんが」
「言ってるよ。今夜だけの相手は嫌だって。
可愛いなぁ、まこと。いいよ、俺のことドンドン好きになってよ。好きすぎて仕事も手につかなくなるくらい。あーでもそれで困るのは俺か。まことは大事な戦力だからなぁ」
再び唇が寄せられる。翔太の目がまことだけを見ていた。
見つめる彼の瞳が雄弁に語っている。
まことが欲しい、と。
「…ダメ?まことのこともっと知りたいし、俺のことも知ってほしい。
…しよ?まこと」
あと少しで唇が重なる近さで、彼はまことの名前を呼ぶ。他の誰でもない。まことが欲しいと。
確実に、翔太の方がうわて。
もう、逃げられない。捕まってしまった。
これほど、女性としての自分を、誰かに求められたことはなかった。しかも、相手は一条翔太。女の子なら誰でも憧れるような人が、女子力ゼロでごく普通の自分を求めている。これは奇跡かもしれない。クリスマスイブの奇跡。