あの丘で、シリウスに願いを
仕方がない。
今、この時間。この時間だけは一条翔太はまことのもの。未来を求めることをしなければいい。翔太も一度味わえば、我に返って気づくはず。求めたものの価値の低さを。
後悔する。たぶん、お互いに。
それでも…いい。
後悔するとわかっている。最初で最後でも構わない。この人をもっと知りたい。
まことはそっと翔太の首に腕を回した。
「…私に、一条翔太を教えて下さい」
「…っ!なんだそれ。すっげー殺し文句。まことは…そうやって男を誘うんだね」
男を誘ったことなど、一度もない。そもそも、まともに付き合ったこともない。男はまことを女として見たりしない。仲間かライバルかの二択の関係しかない。
でも、翔太はどちらでもない。
「教えてやるよまこと。しっかり味わうんだよ」