マリッジ大作戦
5年付き合っている彼女があることや、その彼女が雅榮家の人間でありながら権力に執着していないことも東郷リゾートの人間は知っている人が多く、結婚を望む声が多かったのも事実だ。
だが、権力に執着しない恋人がこれから先の東郷リゾート繁栄に尽力してくれるのか不安の声が多少なりともあったのだ。
『親父が、社長を退いて兄貴に任せたいって話をしたら……。まぁ、ざっくりと言うと、身分のある東郷家繁栄のためにバックアップしてくれるパートナーが社長就任の条件だって。満場一致で同意が得られなかったんだよ。』
『なんて時代錯誤な……。』
チッと舌打ちをした瑛士も、叔父が望むことが分からないわけじゃない。
ただ、まゆりは出会った頃から、才能がありながら自分自身が雅榮家の人間であるとは決して認めないし、財閥という鳥籠で窮屈そうにしているのを誰もが知り、雅流の三代目(まゆりの祖父)も自由にさせていて、権力とは無縁だ。
そんな三代目がなくなって暫くたち、まゆりの兄が四代目になったのは最近である。
『まゆりさんと長いし、そろそろ結婚と思っているのか?』
『三代目も亡くなったばかりだし、まだ考えられないだろ、まゆりも。』
そんな親子の会話を聞いていた崇士。
だが、権力に執着しない恋人がこれから先の東郷リゾート繁栄に尽力してくれるのか不安の声が多少なりともあったのだ。
『親父が、社長を退いて兄貴に任せたいって話をしたら……。まぁ、ざっくりと言うと、身分のある東郷家繁栄のためにバックアップしてくれるパートナーが社長就任の条件だって。満場一致で同意が得られなかったんだよ。』
『なんて時代錯誤な……。』
チッと舌打ちをした瑛士も、叔父が望むことが分からないわけじゃない。
ただ、まゆりは出会った頃から、才能がありながら自分自身が雅榮家の人間であるとは決して認めないし、財閥という鳥籠で窮屈そうにしているのを誰もが知り、雅流の三代目(まゆりの祖父)も自由にさせていて、権力とは無縁だ。
そんな三代目がなくなって暫くたち、まゆりの兄が四代目になったのは最近である。
『まゆりさんと長いし、そろそろ結婚と思っているのか?』
『三代目も亡くなったばかりだし、まだ考えられないだろ、まゆりも。』
そんな親子の会話を聞いていた崇士。