マリッジ大作戦

「あった！やっぱり忘れてた。」

庭園管理室のロッカーに置いてあった自転車の鍵をとり、管理室を出ようとしたとこでドアをノックする音がした。

夜勤でもない日の20時過ぎに電気がついてるのを不振がった警備員かなと思い、まゆりは、"もうでます。すみません"と言いながらドアを開けると、目に入ってきたのはイタリア製のチャコールブラウンの革靴だった。

そして、覚えのあるグレープフルーツミントの香りが鼻をかすめた。

「!!!!!!!」

下を向いていたまゆりがバッと顔をあげると、懐かしい瞳がまゆりを捕らえていた。

「……瑛、士。」

「まゆり。５年ぶり。」

不敵にニヤリと笑う瑛士は、庭園管理室にズケズケと入って来て"へぇ。こんな風に管理してるんだぁ～""すげーな。"とか言いながらキョロキョロ子供見たいな眼差しで見て回っている。

そんな瑛士をまゆりはドキドキしながらみていた。

五年前にくらべ体も引き締まり、モデル顔負けのルックスに高身長で相変わらずの黒髪におしゃれにかけられたパーマがまた似合っている。

時期社長らしく、スーツも装飾品も一流で、これがまた似合っているから堪らなくかっこよく見えて仕方ない。