地獄船
広間に静けさが立ち込めた。


青ざめた小恋が鬼を見上げている。


子鬼たちが小恋へ向けて拍手しているが、その音は全然耳に入ってこなかった。


綾が動く気配がして、視線を向ける。


綾も小恋と同じくらい青い顔をしていて、広間の中央へと歩いて行く。


「綾、どこに行くんだ?」


手を掴み、そう聞いた。


綾は振り返り、そして目に涙を浮かべてほほ笑んだ。


「さっきの、聞いてたでしょ?」


「あ、あぁ。小恋が当たりを引いたんだ」


そう答えると、綾は左右に首を振った。


「早人、あたしも当たりを引いたんだよ」


綾の言葉に俺は瞬きを繰り返した。


綾は何を言ってるんだ?


俺たちのチームはまだのはずだ。
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