地獄船
「なぁ、俺たちのチームはまだあみだくじしてないだろ? なのに、なんで綾が当たりなんだよ?」


子鬼に向けてそう言うと、子鬼は怪訝そうな顔になった。


「なに言ってんのお前。さっき終わったじゃん」


さっき終わった?


冗談だろ?


「早人、手を離して」


綾が震える声で言う。


「早人、お前本当に覚えてないのか?」


後ろから浩成がそう言った。


「覚えてない……?」


「小恋が当たりを引いてすぐ、俺たちのチームのあみだくじが始まったんだ。そして綾が当たりを引いた」


浩成が淡々とそう説明した。


「嘘だろ……?」


俺は愕然として浩成を見た。


浩成と綾が嘘をついているようには見えなかった。
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