地獄船
☆☆☆

俺の真横を高速の肉玉が飛び、そのまま壁にめり込んだ。


一体何が起こったのかわからなくて、時間が停止する。


ゆるゆると首を動かして肉玉のめり込んでいる壁を確認すると、そこだけヒビが入り凹んでいた。


俺は指先で肉玉に触れてみた。


ガッチリ固められているもののミンチ肉に代わりはなく、指先の形に肉が凹んだ。
玉の固さはその程度だ。


それなのに、壁はヒビ割れている。


それを理解した瞬間、顔が引きつった。


綾がいるからと思って終始笑顔のままでいたけれど、口角がピクピクと痙攣し始める。
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