俺様外科医との甘い攻防戦

「ほかの人には『俺に惚れさせよう』だなんて面倒なことはしなかった。なんなら律紀の素性を教えたせいで、好意の矛先を俺に向けられ、迷惑だと思ったことさえある」

「嘘……。だって、惚れさせて、惚れたら、ぽいって」

「律紀の言葉を信じるのかよ」

「だって、そんな……」

 久城先生の言葉を、そのまま信じていいの?

「付き合おうって言ったのは、私、だけ?」

「まあ、律紀に関連した話では」

 息を飲むと、久城先生は苦笑する。

「ここで嘘をついても仕方ないだろ。俺31年生きてきて、そういうことが無いって言ったら嘘になる」

 正直過ぎる発言に、不貞腐れた声が出る。

「そこはモヤッとさせてほしかったです」

「ごめん」

 頭をまた擦り寄せられ、擦り寄せるのは愛情表現なのかなあと、ぼんやり思う。
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