俺様外科医との甘い攻防戦

「それに、病院内で陽葵を追いかけた。病院で噂になっているようだ」

 人からもらったメールの画面を差し出し、該当の『噂』を見せる。

『久城先生と女性作業療法士。痴情のもつれ? と、話題になっています』

 確かに終業後とは言え、まだ院内にはそれなりに看護師や医師もいて。
 その中の逃走劇は、目立っていたかもしれない。

 送り主は、北川茉莉香(まりか)と表示されている。

「北川、さん?」

 仮眠室から一緒に出てきたふたりの姿が脳裏に浮かび、胸が軋む。

「ああ、彼女は弟の婚約者だ」

「え、久城先生の昔の恋人、とかじゃなく?」

 目を丸くした久城先生に、横から抱き寄せられる。

「わっ。料理がっ」

 トレイに載った食器が、動きに合わせ音を立てる。

「ヤキモチか? かわいい」

「ヤキモチ、というか。だって、仮眠室から……」

「仮眠室……。ああ、それで。俺たちはあの道から来ただけで、仮眠室はもっと奥だ。それに、俺は陽葵を腕に抱かないと眠れない」

 俯いていく顔にキスをされ、思わず抱きつく。
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