俺様外科医との甘い攻防戦

「俺、先に行くから」

「はい。お気をつけて」

 玄関まで見送りについていくと、真面目な顔で宣言される。

「最善を尽くす。だからーー」

 顎を持ち上げられ、ドキリとすると唇が触れる。
 それだけで、同僚でいようとする気持ちは、恋人に逆戻りしてしまう。

 背伸びをし腕を首に掛け、触れていただけだったものが深く絡み合うキスへと変わる。

 顔を離すと、おでこを軽くぶつけられ、ぼやかれる。

「キスだけで、終わらなくなるだろ」
 
 親指の腹で唇を拭う姿を見つめ「行けなくなるから、行くな」と、出ていくまでを見送る。

「私も、支度しないと」

 声に出し、なんとか体を動かした。
< 135 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop