俺様外科医との甘い攻防戦

 体を寄せ合いベッドに入ると、久城先生は思いもよらない人物の名前を挙げる。

「律紀を恨めしく思う」

「東雲先生、ですか?」

「ああ。完全な八つ当たりなのは、わかっているが、あいつが女にだらしないせいで、俺まで信用を失っている」

 それは、否めない。

 けれど、悪いのは東雲先生ではない。
 勝手に幻想を抱き憧れ、勝手に真実を知り幻滅をしただけ。

 そして、医師全般に女性関係が派手な人を、間近で見てきたから。

 今はそんな人ばかりではないと、わかってはいる。
 少なくとも久城先生は違うと、頭では理解しているのに。

「律紀ではなく、俺に憧れていてくれれば良かったのにな」

 どこか寂しそうに言われ、ハッとする。
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