俺様外科医との甘い攻防戦

 誰に憧れていようと、結局は医師なのだから同じだと深く考えなかった。

 もしも、本当に憧れの人が、久城先生だったとしたら?
 あの日、背中を撫でてくれた人が、人違いだとしたら……。

「陽葵?」

 久城先生の声を聞き、現実に引き戻される。

「もっとこっちに来て。腕に抱いて眠りたい」

 引き寄せられ、半分以上体が寄り掛かった状態になる。

「これは重いんじゃ」

「いいから。もう眠ろう。陽葵といると安心する」

 よほどお疲れのようで、声にもやがかかっている。

 私は胸元に顔を預け、余計な考えを追い出すように目を閉じる。

「おやすみなさい」

「ああ。おやすみ」
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