俺様外科医との甘い攻防戦

 その夜、夢を見た。
 お腹が痛くて、しゃがみ込んでいる小学生の頃の夢。

 悲しくてつらくて、体を丸める。

 そこへ、背中を撫でてくれる人物が現れる。
 大きな手は、優しくて温かい。

 去って行こうとするその人を、追いかけたくて立ち上がりたいのに、体は思う通りには動かない。

 待って。お願い、待って!
 あなたは、誰なの?

 願いが通じたのか、夢の中のその人は、ゆっくりと振り返った。
 キラキラと眩しい光の中の、その人は……。

「ーー久城先生!」

「どうした」

 優しい声を聞き、ぼやけている思考の中で目を開く。
 視界の中に、柔らかく表情を緩めている久城先生が映る。

「久城、先生」

「蓮弥と呼ばないのは、意地になっているのか?」

 苦笑している久城先生の胸に、顔をすり寄せるように埋める。

「怖い夢を見た? うなされていた」
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